若者の地方志向から見る【地方拠点のメリットと課題】

近年、テレワークやハイブリッドワークの普及に伴い、「どこで働くか」という選択肢は広がりを見せています。特に注目されているのが「地方で働く」という新しい働き方です。

トラストバンク地域創生ラボが2024年に実施した「東京圏の若者の地方に対する意識調査」によると、首都圏に住む15〜29歳の若者のうち約45%が「地方暮らしに憧れがある」と回答しています。背景には「スローライフへの憧れ」や「都会の喧騒から離れたい」という都会疲れが見え隠れする一方で、「交通の不便さ」「働き先の少なさ」が移住の大きなハードルとなっていることも明らかになりました。

そこで、今回の記事では、この調査結果を元に、地方に拠点を設置することは、企業にどのようなメリット・デメリットをもたらすのか、経営者の視点で一緒に考えてみましょう。

地方拠点の設置を本気で考える企業の皆さまへ、後悔のない進出を実現するヒントになれば幸いです。

地方拠点で実現する3大メリット

地方拠点は、単なる勤務地の選択肢拡大ではありません。企業にとっては、人材の採用や定着、コスト構造の見直し、そして新しい事業機会の創出といった大きな効果をもたらします。ここでは、地方の勤務地が企業経営にもたらす3つのメリットについて解説します。

①人材獲得と定着につながる

地方勤務を導入すると、人材戦略の幅が大きく広がります。

U・Iターン希望者や地方大学出身の学生
● 地元で育児や介護と両立しながら働きたいと考える、意欲のある人材

こうした層にアプローチできるのは地方拠点ならではの魅力です。

首都圏に比べ競合企業が少ない地方では、自社のビジョンを求職者に直接伝えやすく、採用コストを抑えることができます。さらに、勤務地や働き方を柔軟に選べることは、ワークライフバランスを大切にしたい層に特に魅力的です。このようなことから、離職防止にも繋がりやすいと言えます。

②コストの最適化

地方に拠点を構えることは、企業にとってコスト面でも大きなメリットがあります。

オフィスコストの削減

大都市圏に比べて賃料が安く、光熱費や維持費も抑えられます。

人件費の最適化

地域の物価や賃金水準に合わせた給与制度を導入できるため、全体の人件費を見直すことが可能です。

補助金・助成金の活用

補助金や助成金を活用することで、サテライトオフィスや通信環境の整備など初期投資を軽減することができます。

︎「補助金ありき」で失敗しないために知っておきたいこと

こうして削減できたコストを、IT投資や人材育成、新規事業の開発に投資をすることで、単なる経費節減ではなく「未来への投資」として将来的なことを見据え、経営を強化することにつながります。

③イノベーションや新規事業の可能性

調査によると、若者の半数以上が「地方を活性化する取り組みに興味がある」と回答しており、その関心の高さが明らかになっています。こうした背景を踏まえると、企業が地方に拠点を置くことは、地元企業や自治体との連携を通じて新たな事業や協業のチャンスを広げるきっかけになります。

さらに、異なる環境で働く従業員の発想や、都市部との交流から得られる多様な視点が組織に取り込まれることで、これまで都市部だけでは得られなかった知見やネットワークが広がります。結果として、企業全体の競争力を高める大きな原動力となるのです。

しかし、もちろんメリットばかりではないのも事実です。次は、地方拠点で懸念される点を見てみましょう。

地方拠点のリスクと解決策

地方拠点には大きなメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。

まず、オフィスでの偶然の会話や雑談が減ることでコミュニケーション不足が起こりやすく、従業員の孤立感につながる恐れがあります。これに対しては、オンライン上で交流や雑談の場を意図的に設け、信頼関係を育む文化をつくることが重要です。

また、リモート環境では「働いている姿」や成果が見えにくいため、従来の評価制度が機能しにくくなる点も課題です。成果を明確に定義し、ジョブ型評価や1on1面談を取り入れることで、公平な評価と生産性の維持を図る必要があります。

さらに、情報セキュリティも大きなリスクです。リモートアクセスや私用端末利用による情報漏洩を防ぐためには、VPNや端末管理の徹底、ペーパーレス化に加え、従業員への継続的な教育が欠かせません。

加えて、労務や制度面でも見直しが求められます。通勤費や在宅勤務手当、就業規則の整合性を調整し、オンラインでの健康管理やストレスチェックを導入することで、従業員が安心して働ける環境を整えることが大切です。

まとめ

これからの経営者に求められるのは、従来の延長ではなく「未来の働き方をデザインする視点」です。地方で働きたいと考える人材のニーズを正しく捉え、安心して働ける仕組みを整えることで、社員にとって魅力的な選択肢を提示できます。それは、採用競争の激しい時代において大きな優位性となり、都市と地方をつなぎながら従業員と地域の双方に価値をもたらす人材を育てることにもつながります。

地方での拠点設置や人材活用を「リスク」ではなく「成長戦略」として捉え直すこと。そこに、地域と企業が共に成長する未来像を描き、持続可能な企業経営へ踏み出す第一歩があるのです。

弊社では、地方拠点設置にまつわる多面的な支援を行っています。「本気で地方進出を考えたい」「成功する拠点運営を実現したい」そんな企業様は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの挑戦を、地域とともに伴走します。 地方での拠点設置をご検討中の企業さま、ぜひお気軽にご相談ください。

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