企業誘致とテレワーク普及の両輪~人口減少を緩やかにするために~ 

みらいの地域コーディネーター大矢に、地方創生について「広く熱く」語っていただく当コーナー。
現在、熊本県・天草市を主な拠点とし、“地域コーディネーター”として地方創生事業を行っている大矢。前回までのコラムでは、地域に雇用を創出する取組みの一つである「企業誘致事業」について伺ってきましたが、今回からは、もう一つの事業の柱である「テレワークの普及」についてお聞きします。

そこには、安心して住み続けられる地域をつくりたいという、大矢の熱い想いがあるそうです。
早速インタビューしてみましょう。

改めて、熊本県・天草市では、どのような取り組みをされていますか? 

「地方に雇用を創出することで、その地域の人口減少を緩やかにしたい」と考え、その成功モデルを天草市でつくるという想いのもと、地方創生事業を行っています。

大矢さんの考える「人口減少を緩やかにする」とは、具体的にどういったことでしょうか?

人口が減少する要因は、大きく2つあります。1つは出生数よりも死亡数が多いことによる「自然減」、もう1つは転入数よりも転出数が多いことによる「社会減」です。私は2つ目の要因である「社会減」による人口減少を少しでも改善したいと考えています。

人口の「社会減」にどのようにアプローチするのでしょうか?

地域によって多少の変動はありますが、地方における転出者の約6割が、「やりたい仕事がない」、もしくは「仕事があっても収入・賃金が低い」という理由で、その地を離れてしまっているのです。
都市部から企業誘致を行い「若者にとって魅力的な仕事を増やすこと」は雇用を創出する上で重要なことですが、同時に「世帯所得を増やしていく」ということも、人口減少を考える上でとても大切なことだと思っています。

なぜ世帯所得を増やす必要があるのでしょうか?

例えば子育てをしていると、子どもの教育にお金がかかるようになり、ある程度の収入を確保する必要がでてきます。しかし、企業の業績が急激に伸びて、翌月から一家の稼ぎ手の給与が5~10万円も上がるかというと、なかなか現実的ではありませんよね。そこで、たとえば、子育てや介護などで、働きたくても働けない主婦の方々などが活躍できる環境があれば、結果的に世帯所得を増やすことができるのではないかと考えました。

子育てや介護などで制約がある方々が活躍できる環境とは?

地方では、一次産業や二次産業が中心の地域が多いので、職場に行って働く仕事が多く、子育てや介護との両立が大変な面があります。そこで短時間でも働けて、自宅などでも勤務ができる「テレワーク」という選択肢があれば、現在子育て中で収入のないママさんが、月5~10万の収入を得ることは可能ではないかと考えました。そうなると経済的な理由で引っ越しをすることがなくなり、人口減少も緩やかにできる一因になると考えています。

地方にテレワークが普及することで、そういったメリットがあるのですね。

そうですね。ただ、地方にテレワークを普及させることは、決して簡単なことではありません。現在当社では、テレワークプラットフォーム「ファロールオンライン」を運営し、たくさんのテレワーカーさんに活躍いただいていますが、立ち上げ当初は色々と課題もありました。案件を受注するにあたり、営業体制や、登録メンバーのデジタルスキルが十分でなかった点などですね。

テレワークプラットフォームを軌道に乗せるためには、適切な量のお仕事と適切なスキルを持った人材が不可欠ということですね。

はい、どちらも段階的に整えていく必要がありました。案件については、私の想いに共感してくださった企業様から、徐々に依頼をいただくことができるようになっていきましたが、登録メンバーのデジタルスキル向上にあたっては、人材育成の仕組みが必要でした。具体的には、テレワークに興味のある市民の方々を対象に、セミナーや講座を開催しました。それらを受講された方たちが、「ファロールオンライン」で中心メンバーとして活躍されるようになり、結果として、とても良いモデルケースになっていったのです。

大矢さんの想いが、段々と形になっていったのですね!

天草市の人口が緩やかになる、その一助になれていたら嬉しいです。また進出企業にとっても、進出先の地域にテレワークが普及していることはメリットが大きいんです。

進出企業にとってのメリットですか?

当社で地方進出のご支援をさせていただいているIT企業の多くは、人材不足に悩んでおられます。特にIT企業の多い首都圏では採用が過熱しており、即戦力となるエンジニア採用は特に難しく、未経験者の採用も少なくありません。同じ未経験を採用するのであれば、地方に拠点をつくり、長く勤務してくれる方を採用したいと考える企業は多いです。テレワークスキルを持ったワーカーさんがその地にいることで、現地での採用ニーズを満たすことができるんです。

テレワークが普及することは、進出企業のニーズも満たす場合があるのですね!

そうなんです。テレワークを地方に普及させることで、企業誘致の促進に繋がり、最終的にはその地域で雇用が生まれ、少しでも人口減少を食い止めることができればと考えています。

人口減少の緩和を目指すみらいの地方創生事業では、企業誘致とテレワークの普及が車の両輪のように、どちらも欠かすことができない大切な取り組みとなっているのですね。
ありがとうございます。

今回は、みらいが考える人口減少対策において、テレワークの普及が必要な理由について語っていただきました。
次回は、天草でテレワークプラットフォーム「ファロールオンライン」を立ち上げた時のエピソードについてお話いただきます。
お楽しみに!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA