【地方創生2.0】企業に求められる新しい価値とは

「企業誘致」と言えば、税制優遇や土地の安さを武器に地方自治体が企業を呼び込む取り組みをイメージされる方も多いのではないでしょうか。

しかし、国が掲げる「地方創生2.0」では、企業に求められる役割や価値は大きく変わりつつあります。

ただ、地方に拠点を構えるだけではなく、地域とともに成長し、社会課題を共に解決していく姿勢が企業価値として注目される時代が到来しています。

この記事では、「地方創生2.0」が描く未来と、そこで企業が果たすべき新たな価値について詳しく解説します。

地方創生2.0が企業に求める『地域共創型』の価値とは

「地方創生2.0」とは、国が10年かけて進めてきた「地方創生」の取り組みをアップデートし、人口減少や人材不足、都市への一極集中といった課題に対し、より現実的で持続可能な地域づくりをめざす新たな方針です。

単なる地域活性化ではなく、「人」や「地域のつながり」にフォーカスした共創型の取り組みが中核に据えられており、その実現には企業の力が不可欠とされています。

「地方創生2.0」とは?何が新しいのか?

2024年に示された「地方創生2.0の基本的な考え方」では、これまでの取り組みに対して「成功事例はあったが全国に広がるには至らなかった」と総括し、以下のような転換が示されました。

・人口減少を前提にした「適応型社会」へのシフト

・「楽しく暮らし、楽しく働ける」地域づくりの推進

・災害に強い地方の構築と、地方を「守る」姿勢 これらは、単なるインフラ整備ではなく、地域に暮らす人々の人生や働き方にまで踏み込んだ施策であり、それを実現するには地域内外の多様な力を結集する共創が不可欠です。

都市と地方はつながる時代へ

従来の「地方=支店」「都市=本社」という構造ではなく、地方と都市が相互に支え合う“多極分散型”の社会がめざされています。

例えば、リモートワークやオンライン会議の常態化により、東京に住みながら地方のプロジェクトに関わる、副業で地域の課題解決に携わる、という新しい人材の動きが増えています。

このように、都市の企業と地方の課題をつなぐ「人材の流動性」を活かす仕組みこそが、地方創生2.0の核であり、そこに企業の柔軟な人材戦略が強く求められているのです。

企業が求められるのは“進出”ではなく“共創”

地方創生2.0における企業の役割は、「地域に進出するプレイヤー」から、「地域とともに課題を解決するパートナー」へと変化しています。

特に政府が掲げる5本の柱【若者・女性に選ばれる地方/産官学の移転と創生/地方イノベーション/新インフラ整備/広域連携】には、企業の技術力・人材力・事業モデルが不可欠です。

例えば、教育機関と連携した人材育成、地域の問題を解決するような新しいビジネスの創出、災害対策を意識したBCP拠点づくりなど、企業の事業活動がそのまま地域の活性化に直結するケースが増えています。

このような「地域とともに成長する姿勢」こそが、今後の企業価値を左右する重要な観点となっているのです。

新しい企業価値の軸は「社会性」「人材共創」「多拠点戦略」

「地方創生2.0」は、単なる地方の活性化ではなく、日本社会全体の持続可能性を支えるための構造転換ともいえます。企業が地方に拠点を構えることは、地域貢献や経済合理性だけでなく、企業自身の価値創造にも直結するようになりました。

ここでは、現代における企業価値とは何か、見てみましょう。

社会性(ソーシャル・インパクト)を持つ企業こそ選ばれる時代へ

従来の企業評価軸は「利益・成長・競争力」でしたが、今は社会にどのような価値を提供しているかが問われています。

特に、ESG(環境・社会・ガバナンス)経営の潮流や、Z世代を中心とした“共感”ベースの就職観を背景に、「社会課題に取り組む企業」や「地域課題に寄り添う企業」は、顧客や求職者から高く評価されるようになっています。

例えば、地方の抱える問題をITの力で解決するスタートアップや、子育て世代の女性に在宅雇用を創出する企業などは、地方創生2.0の思想と親和性が高く、自治体からも歓迎されています。 地方進出は、CSRではなく“経営戦略”としての社会貢献になりつつあるのです。

採用難の時代に求められる人材共創で持続可能な組織へ

人口減少・人材獲得競争が激化する今、「自社で雇用する」だけではなく、「外部の人材と共創する」視点が不可欠になっています。

地方では、多様な働き方を求める層(Uターン・Iターン人材、複業ワーカー、地域で暮らしながらオンラインで働きたい人々など)が存在しています。

こうした人材と企業が協働することで、都市部では得られない創造的な価値が生まれることも多いのです。

また、大学や専門学校との連携、地場企業との共創、さらには地域の高校生をインターンとして受け入れるような試みも、企業にとって「次世代との接点づくり」として重要です。

地方での人材共創は、単なるリソース確保ではなく、「企業の柔軟性」や「未来を拓く組織文化」の証にもなります。

地方拠点は“リスク分散”から“多拠点戦略”へ

コロナ禍以降、「一極集中リスク」が経営上の課題として顕在化しました。サプライチェーンの寸断や自然災害による業務停止など、首都圏だけに拠点を置くことの脆弱性が露呈しました。

そこで注目されているのが、「地方に第2・第3の拠点を持つ」多拠点型の事業運営です。

単なる“バックアップ拠点”ではなく、「新しいサービス開発拠点」「地域密着型マーケティング拠点」「実証実験のフィールド」として活用する動きが活発になっています。

自治体の支援制度や、地元金融機関との連携を活用すれば、リスク分散以上の効果を得ることが可能です。

また、地方で生まれた新規事業やプロダクトが、首都圏とは異なるニーズを捉え、企業全体の成長の核になるケースも少なくありません。

このように、「社会性」「人材共創」「多拠点戦略」は、単に地域と仲良くするための方策ではなく、企業の成長戦略そのものに直結する『新しい企業価値』です。

これらの価値軸を明確にしながら、企業が地方創生2.0に参画することは、社会と企業、両方にとって持続可能な未来を築く第一歩となるのです。

まとめ

今、日本社会は人口減少、災害リスク、労働力不足など多くの課題に直面しています。そうした中で打ち出された「地方創生2.0」は、単なる政策転換ではなく、「人を中心とした社会づくり」への本質的なシフトを意味しています。

この新しい潮流において、企業が地方に拠点を構えることは、「進出」ではなく「共創」への第一歩です。社会課題に取り組みながら自社の価値も高めたい企業にとって、地方は理想的なフィールドとなり得ます。

私たちは、そんな企業と地域をつなぐパートナーとして、拠点設置の企画段階から、地域とのマッチング、支援制度の活用までを一貫してサポートしています。

地方での拠点設置をご検討の企業さま、ぜひお気軽にご相談ください。

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