CFAと天草サーカス

みらいの地域コーディネーター大矢に、地方創生について「広く熱く」語っていただく当コーナー。

現在、熊本県・天草市を主な拠点とし、“地域コーディネーター”として地方創生事業を行っている大矢。今回は天草を想う人々が集い、ともに地域を盛り上げている取り組みについて伺います。

天草の地で「持続可能な地域社会」の実現を志す大矢が出会ったのは、同じ志を持つ仲間たち
そこでの活動を通じて感じたとある想いとは? 早速インタビューしてみましょう。

天草では、地方創生事業の傍ら、様々な地域プロジェクトにも携わっているとお聞きしました。具体的な取り組みについて教えていただけますか。

はい。今回は、天草で私が携わっている「CFA」と「天草サーカス」についてお話ししたいと思います。

ではまず 「CFA」について教えてください。

CFAは『合同会社コンサルティングファーム天草』の略称で、もともとは天草で経営をしながら、地域を盛り上げたいという熱い想いを持った有志3名が立ち上げた会社です。私は2023年1月から、CSO(最高戦略責任者)として参画しています。

CFAのメンバー

「CFA」はどんな活動をされているのですか?

「天草を元気にする、天草の未来を共に創る」というミッションを掲げ、地域活性化やにぎわい創出事業を展開しています。幅広い人脈を持つ多様な業種の経営者が集まり、伴走・支援を行っているのが特徴です。
メンバーはそれぞれ本業を持ちながらも、「天草の地場産業を良くするには、地域全体の活性化が不可欠」という考えのもと、天草の発展に貢献する活動を行っています。

大矢さんが合流されたきっかけは?

天草市の中心地にある本渡港広場を、市民生活の向上につながる形で活用できないかということで天草市の実証事業の話が立ち上がり、CFAで参画を検討しはじめました。

CFAが実証事業を!いいですね!

面白い取り組みですよね。当時、プロジェクトではコンサル業や企画立案などを担える人材が必要とされていて、天草に来たばかりだった私と、マーケティングの知見を持つ高木さん(仮称)にお声がけいただきました。

そういった経緯だったのですね。

2023年の1月から合流し、5名体制でCFAを運営しています。私はCSOとして、戦略の立案と実行を担当しています。前述の本渡港広場での実証事業では、にぎわい創出の一環として、新しく事業を始めたい方や出店を検討している方に向けて、3ヵ月間の入れ替え制でテストマーケティングの場として広場に設置したコンテナブースを活用していただきました。そこから独立・開業された方も多く、少しは天草の活性化に貢献できたかな、と思います。

まさに!地域の活性化につながっていますね!

他にも、地元の観光事業者が新サービスを立ち上げる際のプロモーション支援や、誘致したIT企業のサテライトオフィス開設時のオープニングセレモニーの企画運営などもお手伝いしました。
少しずつですが、「CFAに相談すればなんとかしてくれる」と思っていただける存在になってきているのではないかと感じています。

天草の方々にとっても、心強い存在ですね。

そう言っていただけると本当にありがたいです。私たちCFAは、“天草が良くならないと、地域も持続していかない”という思いで活動しています。正直、利益は度外視です(笑)。
そんな中、天草でCFAと同じ志を持った、熱い人物に出会ったんです。

CFAと同じぐらい熱い人物ですか!?

それが「天草サーカス」を率いる天草ショーゴさんです。彼は「天草でも世界中のショーが見られる芸術祭を開催したい」という想いから、世界レベルのパフォーマーが集結したサーカス団を結成し、今夏も「天草フリンジフェスティバル 2025」を開催しています。

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地元・天草のために、サーカス団を結成されたのですね!

はい。正直、ショーゴさんがやっていることは、人口の多い場所でやるともっと稼げると思うんですよね。それでも彼は、“天草を元気にしたい”という思いで、あえてこの場所で挑戦しているんです。

天草サーカス公演の様子
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なるほど、そうだったのですね。

だからこそ、“天草でもこれだけのことができるんだ”っていうのを示したい。“地方でも、ここまでやれるんだ”っていう可能性を見せたいんだと思います。

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本当に、地域への想いが深いですね。

そうですね。私たちCFAが目指している方向性と、ショーゴさんが描いている世界は、道のりは違うけれど、向いている先は同じなんだと感じています。だからこそ、お互いの活動が響き合うんですよね。

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大矢さんご自身、地域を巻き込んだ活動で大切にされていることはありますか? 

CFAや天草での活動で大事にしているのは、気軽に声をかけられて、ちゃんと向き合える人であること。地域をよくしたいって話が出たときに、「大矢さんに話してみたら?」と、自然に繋いでもらえるような存在になれたらなと思っています。

地域への深い眼差しと、仲間とともに天草の未来をつくる姿勢がとても印象的でした。
素敵なエピソード、ありがとうございました♪

今回は、大矢が天草で携わっている地域共創の取り組みについて語っていただきました。
次回は、行政雑誌掲載についてお話いただきます。
お楽しみに!

若者の地方志向から見る【地方拠点のメリットと課題】

近年、テレワークやハイブリッドワークの普及に伴い、「どこで働くか」という選択肢は広がりを見せています。特に注目されているのが「地方で働く」という新しい働き方です。

トラストバンク地域創生ラボが2024年に実施した「東京圏の若者の地方に対する意識調査」によると、首都圏に住む15〜29歳の若者のうち約45%が「地方暮らしに憧れがある」と回答しています。背景には「スローライフへの憧れ」や「都会の喧騒から離れたい」という都会疲れが見え隠れする一方で、「交通の不便さ」「働き先の少なさ」が移住の大きなハードルとなっていることも明らかになりました。

そこで、今回の記事では、この調査結果を元に、地方に拠点を設置することは、企業にどのようなメリット・デメリットをもたらすのか、経営者の視点で一緒に考えてみましょう。

地方拠点の設置を本気で考える企業の皆さまへ、後悔のない進出を実現するヒントになれば幸いです。

地方拠点で実現する3大メリット

地方拠点は、単なる勤務地の選択肢拡大ではありません。企業にとっては、人材の採用や定着、コスト構造の見直し、そして新しい事業機会の創出といった大きな効果をもたらします。ここでは、地方の勤務地が企業経営にもたらす3つのメリットについて解説します。

①人材獲得と定着につながる

地方勤務を導入すると、人材戦略の幅が大きく広がります。

U・Iターン希望者や地方大学出身の学生
● 地元で育児や介護と両立しながら働きたいと考える、意欲のある人材

こうした層にアプローチできるのは地方拠点ならではの魅力です。

首都圏に比べ競合企業が少ない地方では、自社のビジョンを求職者に直接伝えやすく、採用コストを抑えることができます。さらに、勤務地や働き方を柔軟に選べることは、ワークライフバランスを大切にしたい層に特に魅力的です。このようなことから、離職防止にも繋がりやすいと言えます。

②コストの最適化

地方に拠点を構えることは、企業にとってコスト面でも大きなメリットがあります。

オフィスコストの削減

大都市圏に比べて賃料が安く、光熱費や維持費も抑えられます。

人件費の最適化

地域の物価や賃金水準に合わせた給与制度を導入できるため、全体の人件費を見直すことが可能です。

補助金・助成金の活用

補助金や助成金を活用することで、サテライトオフィスや通信環境の整備など初期投資を軽減することができます。

︎「補助金ありき」で失敗しないために知っておきたいこと

こうして削減できたコストを、IT投資や人材育成、新規事業の開発に投資をすることで、単なる経費節減ではなく「未来への投資」として将来的なことを見据え、経営を強化することにつながります。

③イノベーションや新規事業の可能性

調査によると、若者の半数以上が「地方を活性化する取り組みに興味がある」と回答しており、その関心の高さが明らかになっています。こうした背景を踏まえると、企業が地方に拠点を置くことは、地元企業や自治体との連携を通じて新たな事業や協業のチャンスを広げるきっかけになります。

さらに、異なる環境で働く従業員の発想や、都市部との交流から得られる多様な視点が組織に取り込まれることで、これまで都市部だけでは得られなかった知見やネットワークが広がります。結果として、企業全体の競争力を高める大きな原動力となるのです。

しかし、もちろんメリットばかりではないのも事実です。次は、地方拠点で懸念される点を見てみましょう。

地方拠点のリスクと解決策

地方拠点には大きなメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。

まず、オフィスでの偶然の会話や雑談が減ることでコミュニケーション不足が起こりやすく、従業員の孤立感につながる恐れがあります。これに対しては、オンライン上で交流や雑談の場を意図的に設け、信頼関係を育む文化をつくることが重要です。

また、リモート環境では「働いている姿」や成果が見えにくいため、従来の評価制度が機能しにくくなる点も課題です。成果を明確に定義し、ジョブ型評価や1on1面談を取り入れることで、公平な評価と生産性の維持を図る必要があります。

さらに、情報セキュリティも大きなリスクです。リモートアクセスや私用端末利用による情報漏洩を防ぐためには、VPNや端末管理の徹底、ペーパーレス化に加え、従業員への継続的な教育が欠かせません。

加えて、労務や制度面でも見直しが求められます。通勤費や在宅勤務手当、就業規則の整合性を調整し、オンラインでの健康管理やストレスチェックを導入することで、従業員が安心して働ける環境を整えることが大切です。

まとめ

これからの経営者に求められるのは、従来の延長ではなく「未来の働き方をデザインする視点」です。地方で働きたいと考える人材のニーズを正しく捉え、安心して働ける仕組みを整えることで、社員にとって魅力的な選択肢を提示できます。それは、採用競争の激しい時代において大きな優位性となり、都市と地方をつなぎながら従業員と地域の双方に価値をもたらす人材を育てることにもつながります。

地方での拠点設置や人材活用を「リスク」ではなく「成長戦略」として捉え直すこと。そこに、地域と企業が共に成長する未来像を描き、持続可能な企業経営へ踏み出す第一歩があるのです。

弊社では、地方拠点設置にまつわる多面的な支援を行っています。「本気で地方進出を考えたい」「成功する拠点運営を実現したい」そんな企業様は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの挑戦を、地域とともに伴走します。 地方での拠点設置をご検討中の企業さま、ぜひお気軽にご相談ください。

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    「補助金ありき」で失敗しないために知っておきたいこと

    地方への企業誘致が活発化するなか、「補助金が出るなら…」と地域進出を検討する企業が増えています。しかし、「補助金ありき」で事業計画を立ててしまうと、思わぬ落とし穴にはまる可能性も。補助金は確かに魅力的な制度ですが、申請や運用には独自のハードルがあります。

    そこで、今回の記事では、補助金の仕組みを正しく理解し、補助金に頼りすぎない地域進出を実現するためのポイントをご紹介します。

    地方拠点の設置を本気で考える企業の皆さまへ、後悔のない進出を実現するヒントになれば嬉しいです。

    補助金の正しい理解が、地方進出の成否を分ける

    「補助金が出るからお得」という考え方は、必ずしも正解ではありません。まずは、補助金の仕組みや注意点をしっかりと把握することが、地方での事業展開を成功に導く第一歩です。改めて、補助金とは何かみてみましょう。

    補助金と助成金の違いとは?

    「補助金」と「助成金」は、どちらも国や自治体などの公的機関から交付される資金援助ですが、その性質や受け取り方には明確な違いがあります。まず、助成金は「条件を満たせば基本的に支給される」タイプの支援です。たとえば、雇用環境の改善や人材育成に関する助成金は、申請企業が要件を満たしていれば、原則として不採択になることはほとんどありません。いわば“申請型”であり、確実性の高い資金調達手段です。

    一方で、補助金は、公募期間が定められ、その枠のなかで事業計画の内容や波及効果、実現可能性などが審査され、優れた計画と判断された企業のみが採択されます。つまり「出したら必ずもらえる」というものではなく、採択率は事業や年度によって大きく変動します。人気のある補助金では、採択率が3割を下回ることもあるそうです。

    つまり、補助金を使う場合は一時的に全額を自己負担し、後から一部が戻ってくるという資金繰りになるため、特に中小企業にとっては、この“先に払う”という特性が大きなハードルとなります。

    この2つの違いを正しく理解しておかないと、「もらえると思っていたのに採択されなかった」「採択されたのに資金繰りが苦しい」という事態に陥りかねません。自己資金が潤沢でない企業にとってはキャッシュフローに大きな影響が生じ、進出後に資金が回らず撤退を余儀なくされるケースも見受けられます。

    地方進出の計画を立てる際には、両者の違いを前提にした資金戦略を練ることが欠かせないのです。

    補助率と上限金額を見落とさない

    補助金は対象経費の全額が返ってくるわけではありません。たとえば、補助率が3分の2であれば、残りの3分の1は自己負担です。さらに、補助額には上限が設けられており、上限を超える費用は全額自己負担になります。初期投資の大きな場合は、この差額が数百万円以上にのぼることもあります。

    補助金を前提とした資金計画は、想定外の自己負担により頓挫するリスクをはらんでいるのです。

    「補助金ありき」にしないために、今できる準備とは

    補助金はあくまでも「後押しするための支援策」です。補助金を前提にせずとも、継続的に運営できる事業体制を整えておくことが、地方での長期的な成功につながります。

    書類・報告・審査…想像以上に手間がかかる補助金申請

    補助金の申請には、事業計画書、収支予測、財務諸表、見積書など多くの書類を準備する必要があります。採択された後も、定期的な進捗報告や成果報告が求められ、事務作業の負担が予想以上に重くなることも。

    さらに、補助対象外の支出を誤って含めてしまうと返還を求められる可能性があるため、制度の理解と正確な運用が不可欠です。これらの対応に手が回らず、本来の事業活動に集中できなくなるケースもあります。

    申請が難しい場合は、中小企業診断士や行政書士など専門家に相談することがオススメです。また、申請先の担当者に尋ねると丁寧に教えてくれますので、わからないことは遠慮なく質問しましょう。

    キャッシュフローを確保できるかが勝負の分かれ目

    補助金の支給は原則として「後払い」です。つまり、資金繰りを綿密に設計しなければ、採択されたとしても事業開始前に資金ショートを起こす可能性があります。特に中小企業の場合、複数の補助金申請を同時進行することで資金繰りがさらに複雑になるリスクも。

    万が一、補助金の入金が遅延した場合でも事業が止まらないよう、資金の「余白」を持たせておくことが重要です。

    地域とのつながりが、事業の“呼吸”をつくる

    補助金が終了したあとも継続して事業を続けられるかどうか—。その鍵は、地域に根差した事業運営にあります。地域課題の解決とリンクしたビジネスモデルは、ストーリー性があり、共感を得られやすいことから、結果として企業の社会的信用や人材確保にもつながる好循環を生み出す可能性が高いです。

    現地で信頼できるパートナー企業や自治体、NPO、商工団体などと関係性を築いておくことは、長期的な事業の安定につながります。

    まとめ

    補助金は、地方進出のハードルを下げる重要な制度です。しかし、過度な依存は逆に企業の自由度や持続可能性を奪ってしまいます。補助金ありきではなく、「補助金がなくてもやっていける」土台を先に築くこと。そのうえで補助金を“加速装置”として活用することが、本質的な企業誘致の成功につながります。

    弊社では、補助金の選定から、キャッシュフロー設計、地域連携先の紹介まで、地方拠点設置にまつわる多面的な支援を行っています。「本気で地方進出を考えたい」「成功する拠点運営を実現したい」そんな企業様は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの挑戦を、地域とともに伴走します。

    地方での拠点設置をご検討の企業さま、ぜひお気軽にご相談ください。

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