2021年3月26日~運命の日~ 

みらいの地域コーディネーター大矢に、地方創生について「広く熱く」語っていただく当コーナー。 

現在、熊本県・天草市を主な拠点とし、“地域コーディネーター”として地方創生事業を行っている大矢。今回は大矢が天草へ拠点を移す決断をするきっかけとなった、運命的なエピソードについてお聞きします。 

 

2021年3月26日。 
その日の出会いは、天草行きを前に、期待と不安が入り混じっていた大矢の背中を押してくれる、大変特別なものだったそうなのです。早速インタビューしてみましょう。

大矢さんが天草へ行かれて4年目ですね。 

そうなんです。私が天草で事業を立ち上げようと決意したのは、コロナ禍だった2021年のことでした。当時は年間400以上の自治体から相談を受け、毎日のようにWEB会議をしていて。未知のウイルスへの不安と闘いながらも、地域の活性化を願い、懸命に駆け回る自治体職員の方々の姿に感銘を受け、私自身も「地方自治体の方々の希望となるモデルをつくりたい、それが自分のやるべきことなのでは・・・」という使命感に駆られていました。 
新たに事業を立ち上げることには正直迷いもあったのですが、とある日の出会いが私の背中を押してくれたんです。 

とある日とは? 

今も鮮明に覚えている2021年3月26日のことです。この日私は、天草で事業を本格的にスタートするきっかけをつくってくれた、とても大切なおふたりに出会いました。
ひとりはDHE 柳原さん、もうひとりは熊本日日新聞社 町野さんです。 当日、熊本市でセミナー登壇のお仕事があったのですが、そのセミナーの運営をしていたのが柳原さん、イベント会場の施設長を務めていたのが町野さんだったんです。 

左前方:柳原さん、左後方:大矢、右:町野さん

おふたりはどんな方ですか? まずは柳原さんから教えてください! 

柳原さんは地域活性化を目指し、地域資源の発掘や有用化を通じた観光地ブランディングなどを手掛けていらっしゃる方で、私が「師匠」と慕っている方です。 

大矢さんの師匠ですか!?

そうなんです!私は天草市で、地方創生のモデルをつくろうと様々な取り組みをしていますが、柳原さんは同じ熊本県内の自治体で、赤字施設を黒字転換したり、ふるさと納税寄付額を大幅に増額したりと、まちの立て直しに貢献されている方です。 
実は3月26日のセミナー後、その足で初めて天草に向かう予定になっていたのですが、少なからず不安もあり、懇親会でご一緒させていただいた柳原さんにお話させていただいたんです。「天草で地方創生のモデルをつくりたい」という私に対し、「そこまで事業が描けているなら、絶対に行くべきだと思いますよ」と柳原さんがおっしゃってくださって。その言葉に背中を押され、天草へ向かいました。 

大矢さんの天草行き決断の陰には、柳原さんの存在があったのですね!

そうですね。迷いがなかったかというと嘘になりますが、実績を残してきた柳原さんが後押ししてくださったのは本当に大きかったですね。 
柳原さんとは今でも、一緒にお仕事をさせていただいています(笑)。 

素敵な出会いだったのですね。町野さんについても教えてください! 

町野さんは新聞社の方なのですが、3月のセミナーでお会いした際、限られた時間でしたがお話させていただき、すぐに意気投合しました。その時は、私が天草へ行くことを決断する前だったので、詳しい話はしていなかったのですが、2ケ月後の2021年の5月に、偶然の巡り合わせがあったんです。 

偶然の巡り合わせですか⁉ 

そうなんです。当時、私が立ち上げ準備を進めていた天草市のテレワークセンター「あまスタファロール」に、町野さんが訪ねてこられたんです。私は不在だったのですが、スタッフから「熊日の町野さんという方が見えてます」と連絡をもらい、すぐに携帯へ電話をしました。まさか私が天草で新たな取り組みを始めるとは知る由もない町野さんは、驚くのと同時に、なんだかワクワクしている感じが伝わってきました(笑)。 

それはびっくりでしたね。 

さらに詳しく伺うと、私が天草でやりたかったことと、町野さんが関わっている事業の取り組みはとても親和性があって。そこからテレワークセミナーや体験ツアーの開催などで連携もさせていただきました。さらにお仕事だけでなく、その事業のネットワークを通じて、熊本県内各地のキーマンたちとも出会うことができたんです。 

そこから新たな出会いもあったのですね! 

今も交流のある熊本県内のコワーキング施設や、シェアオフィスの運営者の方とも、その時つながることができました。「地域を盛り上げよう」と、熱い想いをもって行動されている方ばかりで、お互いの活動に刺激をもらったり、時には一緒に誘致活動を行なったりと、ともに切磋琢磨しあえる仲間と出会えました。「あまスタファロール」を運営していく上でも、当時出会った方々との連携というのはすごく大きかったなと思います。 

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おふたりとの出会いをきっかけに、ご縁がどんどん広がっていますね! 

柳原さんや町野さん、そして天草でできたご縁が、現在も大きく広がっているんですよね。そう思うと、2021年3月26日の出会いは、私にとっては宝物のようだったなと今でも思っています。 

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大矢さんはご縁をとても大切にされていると感じますが? 

私は、周りの方々にたくさん手を差し伸べてもらったおかげで、いまの自分があると思っています。だから私も人との出会いを大事にしたいし、常にどんなことでも受けられるような柔軟な思考を持つことを大切にしているんです。出会った人との人間関係を大事にしていくことで、またその先につながっていくんですよね。
人を大事にする人が、結局素晴らしい人たちに囲まれるんじゃないかなって思っています。 

たくさんの方とのご縁を大切にされているからこそ、今の大矢さんがあるのですね。 
ありがとうございます。 

今回は、大矢が天草行きを決断するきっかけとなった、運命的な出会いについて語っていただきました。 
次回は、天草の方々との交流の中で学んだことについてお話いただきます。 
お楽しみに! 

「ファロールオンライン」の立ち上げ~持続可能な地域社会を目指して~

みらいの地域コーディネーター大矢に、地方創生について「広く熱く」語っていただく当コーナー。 

現在、熊本県・天草市を主な拠点とし、“地域コーディネーター”として地方創生事業を行っている大矢。
今回は、2021年に天草でテレワークプラットフォーム「ファロールオンライン」を立ち上げた時のエピソードについてお聞きします。 

そこには、テレワークの普及を通じて、テレワークで働く人々や、地域の発展を願う大矢の熱い想いがあるそうです。
早速インタビューしてみましょう。 

「ファロールオンライン」 とは、どのようなプラットフォームでしょうか? 

都市部の企業などから業務を受託し、登録しているメンバーがオンラインアシスタントとして、テレワークで業務支援に従事しています。「ファロールオンライン」では、育児や介護、地方在住など、時間や場所に制約があり、一般的な求人では接点のできない、働く意欲と高いスキルを持った人材がたくさん活躍しています! 

なぜ、「ファロールオンライン」を立ち上げようと思ったのでしょうか? 

前回のコラムでもお話しましたが、私が天草へと拠点を移した大きな理由の一つに、テレワークを普及することで、地方に雇用を創出し、地域の人口減少を緩やかにしたいという想いがありました。テレワーク普及のためには、デジタル人材の育成が必要だと考え、テレワーク入門セミナーやスキルアップ講座なども開催しました。ただ、いくらスキルをつけても、それを活かす場がなかったんです。 

当時の天草には、テレワークを普及していく上での課題が色々とあったということですね。 

そうですね。どうやってオンラインで働くということを当たり前にしていくか?と考えた時に、当然仕事が必要になってきますが、当時は営業体制だけでなく、地元の方々のデジタルスキルが十分でないことにより、オンラインで行うお仕事はほとんどありませんでした。 
そこでオンラインプラットフォームを立ち上げ、全国の経験・スキルをもったメンバーさんたちと一緒に仕事をすることで、実務を通じて地方のワーカーさんのスキルも向上できるのではと考えたんです。 

スキルを持った多くの人を集めることができるのは、オンラインならではですよね! 

そうなんです。実際「ファロールオンライン」を立ち上げると、全国から高いスキルと意欲を持ったメンバーさんたちが集まってくれました。その方たちにマネージャーとして、お客様とのやりとりや、ビジネススキルやテレワークスキルが不足しているメンバーの育成を任せることができました。
はじめてテレワークを行う地元のワーカーさんも、マネージャーの存在があると、安心して業務にチャレンジすることができます。半年1年のうちに大きく成長するメンバーを見ていると、私が当初想い描いていた「安心して、はじめてテレワークに踏み出せる環境をつくる」ということが、形になってきているなと感じますね。 

「ファロールオンライン」では現在、どのような方がご活躍されているのでしょうか? 

立ち上げ当初から関わってくれているマネージャーはもちろん、私が天草ではじめて開催したテレワーク入門セミナーの受講者が、現在マネージャーやリーダーとして、新たなメンバーの育成やお客様とのやりとりを行ってくれています。当時はパソコンもほとんど触ったことがなかった方たちが、意欲的にスキルを付けていく姿をみると、すごく嬉しく思いますね。 
現在は、天草在住の方を含む総勢300名ほどが在籍しており、子育て・介護中の方々や海外在住者なども活躍していますよ。 

わずか3年ほどで大きな組織になったのですね! その秘訣はどこにあったのでしょう? 

キャリアステップ制度を整備した点は大きかったと思います。地方では、昇給制度が整っていない企業も散見され、仕事で成果を出す喜びを感じたことがない人が多いと感じました。そこで7段階のキャリアステップを用意し、自身のスキルアップや頑張りに見合った報酬が得られる仕組みを構築したんです。 

メンバーをとても大切に想っていらっしゃるのですね。 

お客様と同じくらい、一緒に働く仲間を大切にする!と決めて「ファロールオンライン」を立ち上げました。お陰様で「地方で雇用を創出し、人口減少を緩やかにする」というファロールのコンセプトを理解し、応援してくださるお客様とお付き合いができていることも、結果的にメンバーを大切にすることにつながっていると感じます。 

メンバーの皆さんのモチベーションも高そうですね。 

そうですね。「地方にいても首都圏のナショナルクライアントの仕事ができる」という点や、家族を大事にしながら自分のやりたいこともできることが影響しているのだと思いますが、メンバーのモチベーションは総じてとても高いと感じます。 
さらに今後は、都市部の企業の仕事を通して自信をつけたメンバーが、地場産業の活性化にも貢献していくような流れが生み出せればと考えています。 

都市部企業の仕事をすることが、地場産業の活性化につながるのですか? 

「ファロールオンライン」の業務では、地方では携わる機会のない、都市部の企業の仕事を経験することができます。そこで得た最先端の技術やノウハウを、地元のメンバーが地元の企業へと還流していくことにより、地場産業が活性化し、業績が向上していくという流れですね。 

そういった好循環が期待できるのですね。 

都市部の企業の仕事を担うメンバーさんと、地場企業をつないでいくことで、地域の人材の力で、地域企業の業績向上を達成することができると考えています。そうなれば、私が目指している「持続可能な地域社会」の実現ができるーー。これを達成したいと思ったのも、「ファロールオンライン」を立ち上げた一つの要因なんですよね。 

天草市でテレワークの普及を目指す取り組みは、雇用創出という面だけでなく、地域に住む人の力で、地域の企業や産業を活性化していくという「持続可能な地域社会」の実現にも寄与しているのですね。 
ありがとうございます。

今回は、大矢がテレワークプラットフォーム「ファロールオンライン」を立ち上げた時のエピソードについて語っていただきました。
次回は、そんな大矢の心に「運命の日」として今も刻まれている、2021年3月26日の出来事についてお話いただきます。 
お楽しみに! 

企業誘致とテレワーク普及の両輪~人口減少を緩やかにするために~ 

みらいの地域コーディネーター大矢に、地方創生について「広く熱く」語っていただく当コーナー。
現在、熊本県・天草市を主な拠点とし、“地域コーディネーター”として地方創生事業を行っている大矢。前回までのコラムでは、地域に雇用を創出する取組みの一つである「企業誘致事業」について伺ってきましたが、今回からは、もう一つの事業の柱である「テレワークの普及」についてお聞きします。

そこには、安心して住み続けられる地域をつくりたいという、大矢の熱い想いがあるそうです。
早速インタビューしてみましょう。

改めて、熊本県・天草市では、どのような取り組みをされていますか? 

「地方に雇用を創出することで、その地域の人口減少を緩やかにしたい」と考え、その成功モデルを天草市でつくるという想いのもと、地方創生事業を行っています。

大矢さんの考える「人口減少を緩やかにする」とは、具体的にどういったことでしょうか?

人口が減少する要因は、大きく2つあります。1つは出生数よりも死亡数が多いことによる「自然減」、もう1つは転入数よりも転出数が多いことによる「社会減」です。私は2つ目の要因である「社会減」による人口減少を少しでも改善したいと考えています。

人口の「社会減」にどのようにアプローチするのでしょうか?

地域によって多少の変動はありますが、地方における転出者の約6割が、「やりたい仕事がない」、もしくは「仕事があっても収入・賃金が低い」という理由で、その地を離れてしまっているのです。
都市部から企業誘致を行い「若者にとって魅力的な仕事を増やすこと」は雇用を創出する上で重要なことですが、同時に「世帯所得を増やしていく」ということも、人口減少を考える上でとても大切なことだと思っています。

なぜ世帯所得を増やす必要があるのでしょうか?

例えば子育てをしていると、子どもの教育にお金がかかるようになり、ある程度の収入を確保する必要がでてきます。しかし、企業の業績が急激に伸びて、翌月から一家の稼ぎ手の給与が5~10万円も上がるかというと、なかなか現実的ではありませんよね。そこで、たとえば、子育てや介護などで、働きたくても働けない主婦の方々などが活躍できる環境があれば、結果的に世帯所得を増やすことができるのではないかと考えました。

子育てや介護などで制約がある方々が活躍できる環境とは?

地方では、一次産業や二次産業が中心の地域が多いので、職場に行って働く仕事が多く、子育てや介護との両立が大変な面があります。そこで短時間でも働けて、自宅などでも勤務ができる「テレワーク」という選択肢があれば、現在子育て中で収入のないママさんが、月5~10万の収入を得ることは可能ではないかと考えました。そうなると経済的な理由で引っ越しをすることがなくなり、人口減少も緩やかにできる一因になると考えています。

地方にテレワークが普及することで、そういったメリットがあるのですね。

そうですね。ただ、地方にテレワークを普及させることは、決して簡単なことではありません。現在当社では、テレワークプラットフォーム「ファロールオンライン」を運営し、たくさんのテレワーカーさんに活躍いただいていますが、立ち上げ当初は色々と課題もありました。案件を受注するにあたり、営業体制や、登録メンバーのデジタルスキルが十分でなかった点などですね。

テレワークプラットフォームを軌道に乗せるためには、適切な量のお仕事と適切なスキルを持った人材が不可欠ということですね。

はい、どちらも段階的に整えていく必要がありました。案件については、私の想いに共感してくださった企業様から、徐々に依頼をいただくことができるようになっていきましたが、登録メンバーのデジタルスキル向上にあたっては、人材育成の仕組みが必要でした。具体的には、テレワークに興味のある市民の方々を対象に、セミナーや講座を開催しました。それらを受講された方たちが、「ファロールオンライン」で中心メンバーとして活躍されるようになり、結果として、とても良いモデルケースになっていったのです。

大矢さんの想いが、段々と形になっていったのですね!

天草市の人口が緩やかになる、その一助になれていたら嬉しいです。また進出企業にとっても、進出先の地域にテレワークが普及していることはメリットが大きいんです。

進出企業にとってのメリットですか?

当社で地方進出のご支援をさせていただいているIT企業の多くは、人材不足に悩んでおられます。特にIT企業の多い首都圏では採用が過熱しており、即戦力となるエンジニア採用は特に難しく、未経験者の採用も少なくありません。同じ未経験を採用するのであれば、地方に拠点をつくり、長く勤務してくれる方を採用したいと考える企業は多いです。テレワークスキルを持ったワーカーさんがその地にいることで、現地での採用ニーズを満たすことができるんです。

テレワークが普及することは、進出企業のニーズも満たす場合があるのですね!

そうなんです。テレワークを地方に普及させることで、企業誘致の促進に繋がり、最終的にはその地域で雇用が生まれ、少しでも人口減少を食い止めることができればと考えています。

人口減少の緩和を目指すみらいの地方創生事業では、企業誘致とテレワークの普及が車の両輪のように、どちらも欠かすことができない大切な取り組みとなっているのですね。
ありがとうございます。

今回は、みらいが考える人口減少対策において、テレワークの普及が必要な理由について語っていただきました。
次回は、天草でテレワークプラットフォーム「ファロールオンライン」を立ち上げた時のエピソードについてお話いただきます。
お楽しみに!

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