地方雇用は企業の成長戦略【3つの視点で解説】
テレワークや働き方改革の浸透により、「地方で働く」ことが特別ではなくなりつつあります。
一方で、企業にとっても地方進出や地域での雇用創出は、単なる社会貢献ではなく、経営戦略の一部として注目を集めています。
地方での雇用創出は、優秀な人材の確保、コスト削減、ブランドイメージの向上、BCP(事業継続計画)の強化など、企業にも多くのメリットをもたらします。
今回は、企業が地方で人材を採用・育成することで得られる具体的な利点を3つの観点からお話しします。
地方拠点の設置を本気で考える企業の皆さまへ、後悔のない進出を実現するヒントになれば幸いです。
人材戦略の強化と働き方改革の推進
地方での雇用創出は、企業にとって「人材の確保と定着」を実現する絶好のチャンスといえます。特に、大都市圏では採用競争が激しく、求人コストの上昇や早期離職が課題となっています。
しかし、地方では就きたい仕事が見つからず、求職者とのマッチングがうまくいかないことが課題になっています。また、最近では、都市部の長時間労働や高コストな生活を避け、地元での安定した暮らしを求める人が増加傾向にあります。家族の事情やライフスタイルの変化から「地方で働き続けたい」と考える優秀な人材も多く、企業にとっては新たな人材層を開拓するチャンスとなるでしょう。
さらに、地方勤務の導入は、社員にとって働きやすい環境づくりにも直結します。
特に、通勤時間の短縮はワークライフバランスの改善につながり、仕事と家庭の両立がしやすくなることで従業員満足度(ES)が高まる傾向にあります。結果として離職率が低下し、安定した組織運営を実現できるのです。
こうした柔軟な働き方を提供する企業は、社員の幸福度を高めると同時に、社会からも信頼される組織へと成長していくでしょう。
地方での雇用創出は、「人が辞めない職場づくり」を実現する第一歩といえるかもしれません。
経営効率化とリスク分散による安定経営
地方進出の大きな魅力のひとつが、コスト構造の最適化と事業リスクの分散です。
東京や大阪などの大都市圏と比べると、地方ではオフィス賃料や人件費を大幅に抑えられるケースが多く、固定費削減に直結します。
たとえば、主要都市部と地方都市を比較すると、賃料が半分以下になることも珍しくありません。その分、浮いたコストを新規事業や人材育成など、将来の成長投資に回すことができるのです。
また、地方自治体が実施する企業誘致の補助金や税制優遇制度を活用すれば、初期投資の負担を軽減できます。オフィス設置費の助成、雇用創出支援金、用途不問の進出支援金など、地域によっては独自の支援メニューも用意されています。
こうした制度をうまく活かすことで、地方進出のリスクを最小限に抑えながら、着実な事業展開が可能になるでしょう。
さらに、自然災害や感染症などへの備えとして、地方拠点を持つ企業が増えています。首都圏一極集中によるリスクを回避し、複数拠点で業務を分担することで、BCP(事業継続計画)の強化につながります。
このように、地方に拠点を設けることで、緊急時にも業務を止めずに継続できる体制を構築できるのです。これは、単なるコストダウンではなく、経営のレジリエンス(しなやかさ)を高める戦略投資といえるでしょう。
安定した経営基盤を築くことが、結果的に社員や地域社会の安心にもつながっていきます。
地域連携によるイノベーションの創出
地域に雇用を生み出すことは、若者の地元定着や地域経済の活性化を創出し、社会課題の解決につながります。
こうした取り組みは、CSR(企業の社会的責任)の実践として評価されるだけでなく、「地域と共に成長する企業」という好印象を社会に与えるでしょう。
さらに近年では、CSRを超えてCSV(Creating Shared Value:共通価値の創造)という考え方が注目を集めています。
地域資源や文化、伝統産業などを活かした商品開発やサービス展開を行うことで、企業の利益と社会的価値の両立を図ることができます。
また、地方拠点の設立は、産学官連携によるイノベーションのきっかけにもなります。地元の大学や研究機関、行政、地場企業などと協働することで、新たなビジネスモデルや社会課題解決型の事業が生まれるケースも増えています。
地方に拠点を持つことは、企業が単なる雇用の提供者にとどまらず、地域と未来を共に創るパートナーとしての役割を果たすことを意味します。
その姿勢こそが、企業ブランドの向上や社員の誇りにつながり、持続的な成長を支える力となるでしょう。
まとめ
地方での雇用創出は、人材の確保と定着、経営の安定化、地域との共創を通じたブランド価値の向上など、企業が抱える課題を解決する糸口にもなります。
都市と地方の垣根が薄れつつある今こそ、「地方で働く」ことの意味を再定義し、地域との連携によって新たな価値を創出するタイミングです。
企業も地域も共に成長できる未来に向けて、一歩踏み出してみましょう。
弊社では、地方拠点設置にまつわる多面的な支援を行っています。「本気で地方進出を考えたい」「成功する拠点運営を実現したい」そんな企業様は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの挑戦を、地域とともに伴走します。
地方での拠点設置をご検討中の企業さま、ぜひお気軽にご相談ください。
CFAと天草サーカス
日本の端から日本を元気に(通称:日日)の地域コーディネーター大矢に、地方創生について「広く熱く」語っていただく当コーナー。
現在、熊本県・天草市を主な拠点とし、“地域コーディネーター”として地方創生事業を行っている大矢。今回は天草を想う人々が集い、ともに地域を盛り上げている取り組みについて伺います。
天草の地で「持続可能な地域社会」の実現を志す大矢が出会ったのは、同じ志を持つ仲間たち。
そこでの活動を通じて感じたとある想いとは? 早速インタビューしてみましょう。
天草では、地方創生事業の傍ら、様々な地域プロジェクトにも携わっているとお聞きしました。具体的な取り組みについて教えていただけますか。
はい。今回は、天草で私が携わっている「CFA」と「天草サーカス」についてお話ししたいと思います。
CFAは『合同会社コンサルティングファーム天草』の略称で、もともとは天草で経営をしながら、地域を盛り上げたいという熱い想いを持った有志3名が立ち上げた会社です。私は2023年1月から、CSO(最高戦略責任者)として参画しています。
CFAのメンバー
「天草を元気にする、天草の未来を共に創る」というミッションを掲げ、地域活性化やにぎわい創出事業を展開しています。幅広い人脈を持つ多様な業種の経営者が集まり、伴走・支援を行っているのが特徴です。
メンバーはそれぞれ本業を持ちながらも、「天草の地場産業を良くするには、地域全体の活性化が不可欠」という考えのもと、天草の発展に貢献する活動を行っています。
天草市の中心地にある本渡港広場を、市民生活の向上につながる形で活用できないかということで天草市の実証事業の話が立ち上がり、CFAで参画を検討しはじめました。
面白い取り組みですよね。当時、プロジェクトではコンサル業や企画立案などを担える人材が必要とされていて、天草に来たばかりだった私と、マーケティングの知見を持つ高木さん(仮称)にお声がけいただきました。
2023年の1月から合流し、5名体制でCFAを運営しています。私はCSOとして、戦略の立案と実行を担当しています。前述の本渡港広場での実証事業では、にぎわい創出の一環として、新しく事業を始めたい方や出店を検討している方に向けて、3ヵ月間の入れ替え制でテストマーケティングの場として広場に設置したコンテナブースを活用していただきました。そこから独立・開業された方も多く、少しは天草の活性化に貢献できたかな、と思います。
他にも、地元の観光事業者が新サービスを立ち上げる際のプロモーション支援や、誘致したIT企業のサテライトオフィス開設時のオープニングセレモニーの企画運営などもお手伝いしました。
少しずつですが、「CFAに相談すればなんとかしてくれる」と思っていただける存在になってきているのではないかと感じています。
そう言っていただけると本当にありがたいです。私たちCFAは、“天草が良くならないと、地域も持続していかない”という思いで活動しています。正直、利益は度外視です(笑)。
そんな中、天草でCFAと同じ志を持った、熱い人物に出会ったんです。
それが「天草サーカス」を率いる天草ショーゴさんです。彼は「天草でも世界中のショーが見られる芸術祭を開催したい」という想いから、世界レベルのパフォーマーが集結したサーカス団を結成し、今夏も「天草フリンジフェスティバル 2025」を開催しています。
地元・天草のために、サーカス団を結成されたのですね!
はい。正直、ショーゴさんがやっていることは、人口の多い場所でやるともっと稼げると思うんですよね。それでも彼は、“天草を元気にしたい”という思いで、あえてこの場所で挑戦しているんです。
天草サーカス公演の様子
だからこそ、“天草でもこれだけのことができるんだ”っていうのを示したい。“地方でも、ここまでやれるんだ”っていう可能性を見せたいんだと思います。
そうですね。私たちCFAが目指している方向性と、ショーゴさんが描いている世界は、道のりは違うけれど、向いている先は同じなんだと感じています。だからこそ、お互いの活動が響き合うんですよね。
大矢さんご自身、地域を巻き込んだ活動で大切にされていることはありますか?
CFAや天草での活動で大事にしているのは、気軽に声をかけられて、ちゃんと向き合える人であること。地域をよくしたいって話が出たときに、「大矢さんに話してみたら?」と、自然に繋いでもらえるような存在になれたらなと思っています。
地域への深い眼差しと、仲間とともに天草の未来をつくる姿勢がとても印象的でした。
素敵なエピソード、ありがとうございました♪
今回は、大矢が天草で携わっている地域共創の取り組みについて語っていただきました。
次回は、行政雑誌掲載についてお話いただきます。
お楽しみに!
若者の地方志向から見る【地方拠点のメリットと課題】
近年、テレワークやハイブリッドワークの普及に伴い、「どこで働くか」という選択肢は広がりを見せています。特に注目されているのが「地方で働く」という新しい働き方です。
トラストバンク地域創生ラボが2024年に実施した「東京圏の若者の地方に対する意識調査」によると、首都圏に住む15〜29歳の若者のうち約45%が「地方暮らしに憧れがある」と回答しています。背景には「スローライフへの憧れ」や「都会の喧騒から離れたい」という都会疲れが見え隠れする一方で、「交通の不便さ」「働き先の少なさ」が移住の大きなハードルとなっていることも明らかになりました。
そこで、今回の記事では、この調査結果を元に、地方に拠点を設置することは、企業にどのようなメリット・デメリットをもたらすのか、経営者の視点で一緒に考えてみましょう。
地方拠点の設置を本気で考える企業の皆さまへ、後悔のない進出を実現するヒントになれば幸いです。
地方拠点で実現する3大メリット
地方拠点は、単なる勤務地の選択肢拡大ではありません。企業にとっては、人材の採用や定着、コスト構造の見直し、そして新しい事業機会の創出といった大きな効果をもたらします。ここでは、地方の勤務地が企業経営にもたらす3つのメリットについて解説します。
①人材獲得と定着につながる
地方勤務を導入すると、人材戦略の幅が大きく広がります。
● U・Iターン希望者や地方大学出身の学生
● 地元で育児や介護と両立しながら働きたいと考える、意欲のある人材
こうした層にアプローチできるのは地方拠点ならではの魅力です。
首都圏に比べ競合企業が少ない地方では、自社のビジョンを求職者に直接伝えやすく、採用コストを抑えることができます。さらに、勤務地や働き方を柔軟に選べることは、ワークライフバランスを大切にしたい層に特に魅力的です。このようなことから、離職防止にも繋がりやすいと言えます。
②コストの最適化
地方に拠点を構えることは、企業にとってコスト面でも大きなメリットがあります。
オフィスコストの削減
大都市圏に比べて賃料が安く、光熱費や維持費も抑えられます。
人件費の最適化
地域の物価や賃金水準に合わせた給与制度を導入できるため、全体の人件費を見直すことが可能です。
補助金・助成金の活用
補助金や助成金を活用することで、サテライトオフィスや通信環境の整備など初期投資を軽減することができます。
▶︎「補助金ありき」で失敗しないために知っておきたいこと
こうして削減できたコストを、IT投資や人材育成、新規事業の開発に投資をすることで、単なる経費節減ではなく「未来への投資」として将来的なことを見据え、経営を強化することにつながります。
③イノベーションや新規事業の可能性
調査によると、若者の半数以上が「地方を活性化する取り組みに興味がある」と回答しており、その関心の高さが明らかになっています。こうした背景を踏まえると、企業が地方に拠点を置くことは、地元企業や自治体との連携を通じて新たな事業や協業のチャンスを広げるきっかけになります。
さらに、異なる環境で働く従業員の発想や、都市部との交流から得られる多様な視点が組織に取り込まれることで、これまで都市部だけでは得られなかった知見やネットワークが広がります。結果として、企業全体の競争力を高める大きな原動力となるのです。
しかし、もちろんメリットばかりではないのも事実です。次は、地方拠点で懸念される点を見てみましょう。
地方拠点のリスクと解決策
地方拠点には大きなメリットがある一方で、いくつかの課題も存在します。
まず、オフィスでの偶然の会話や雑談が減ることでコミュニケーション不足が起こりやすく、従業員の孤立感につながる恐れがあります。これに対しては、オンライン上で交流や雑談の場を意図的に設け、信頼関係を育む文化をつくることが重要です。
また、リモート環境では「働いている姿」や成果が見えにくいため、従来の評価制度が機能しにくくなる点も課題です。成果を明確に定義し、ジョブ型評価や1on1面談を取り入れることで、公平な評価と生産性の維持を図る必要があります。
さらに、情報セキュリティも大きなリスクです。リモートアクセスや私用端末利用による情報漏洩を防ぐためには、VPNや端末管理の徹底、ペーパーレス化に加え、従業員への継続的な教育が欠かせません。
加えて、労務や制度面でも見直しが求められます。通勤費や在宅勤務手当、就業規則の整合性を調整し、オンラインでの健康管理やストレスチェックを導入することで、従業員が安心して働ける環境を整えることが大切です。
まとめ
これからの経営者に求められるのは、従来の延長ではなく「未来の働き方をデザインする視点」です。地方で働きたいと考える人材のニーズを正しく捉え、安心して働ける仕組みを整えることで、社員にとって魅力的な選択肢を提示できます。それは、採用競争の激しい時代において大きな優位性となり、都市と地方をつなぎながら従業員と地域の双方に価値をもたらす人材を育てることにもつながります。
地方での拠点設置や人材活用を「リスク」ではなく「成長戦略」として捉え直すこと。そこに、地域と企業が共に成長する未来像を描き、持続可能な企業経営へ踏み出す第一歩があるのです。
弊社では、地方拠点設置にまつわる多面的な支援を行っています。「本気で地方進出を考えたい」「成功する拠点運営を実現したい」そんな企業様は、ぜひ一度ご相談ください。あなたの挑戦を、地域とともに伴走します。 地方での拠点設置をご検討中の企業さま、ぜひお気軽にご相談ください。